答えは一つだけじゃない
日本社会は、成長社会から成熟社会へと移り変わりました。
今までの成長社会では、高度成長期のように皆が同じ考えのもと、同じ方向を向いて進めばよかった時代でしたが、現在の成熟社会では、その特徴でもある「価値観の多様化」が進んでいる、ということです。
価値観の多様化、つまり、答えは一つだけでなく、いろいろなモノの見方や考え方があって、それらをお互いに尊重していかなければ、共存・共栄する事ができない社会になったということです。
私たち在日同胞社会も例外ではありません。
特に教育を取り巻く環境は大きく移り変わりました。
海を渡ってきた1世同胞たちは、異国の地だからこそ必然的に、自分の子供たちに自国の言葉、文化、慣習を身につけさせるため、全国各地で自主的に学校を建設してきました。
それを2世の同胞が引き継ぎ、民族教育を発展させてきましたが、時代の流れとともに日本学校を選択する同胞たちも多くなりました。
「日本に住んでいる以上、日本の教育を受けるべきである。」
「日本学校の方がたくさんの選択肢があるから。」
「日本学校でいい教育を受け、いい就職先に就けば子供たちの生活も安泰である。」
これが成長社会から成熟社会へと移り変わる中で起き始めた、教育に対する在日同胞たちの「価値観の多様化」の表れではないでしょうか。
そこで私たちは考えました。
今までの伝統を守りつつ、これら多様化した価値観を受け入れるところから出発しなければならないと。
今までのように、ただ民族教育を守らなければならないという考えから、まず、どのようにすれば子供たちに社会を生き抜く力を身に付けさせてあげられるのか、を、考えなければならないと。
朝鮮学校(ウリハッキョ)と日本学校のどちらを選ぶかは、保護者にとっては単なる選択の問題に過ぎません。
朝鮮学校が選ばれるためには、それだけの「価値」を提供しなければならないと私たちは考えます。
では、なぜ朝鮮学校なのか?
重要なことは、その答えを明確に示すことだと考え、私たちは本校の教育理念を次のように掲げています。